chemSHERPA作成におけるSDSの活用

製品含有化学物質管理において、金属や樹脂材料、表面処理液など化学品についてはchemSHERPA-CIで情報伝達するのが基本です。
しかし、小規模な材料卸業者や外注加工先では人的リソースが限られており、chemSHERPA-CIを作成して提供することが難しい場合が少なくありません。

このような場合は、金属や樹脂素材、表面処理液等のSDS(安全性データシート)を提供してもらうことでchemSHERPA-CIの代替とすることが可能です。
SDSの項目2(危険有害性の要約)には危険有害性物質がCAS登録番号とパーセンテージともに記載されています。
この情報をchemSHERPA-AIに成分情報として入力することができるので、SDSを利用することで成形品での含有物質情報伝達も可能となります。

ただし、SDSに記載されているのは含有パーセンテージなので、実際の成形品に物質が重量としてどれぐらい含まれているかは現物や仕様書などから的確に算定しておく必要があります。
また、chemSHERPAは最終製品に含有される規制物質を把握することが目的なので、労働安全衛生等を目的にしたSDSとは対象物質が合致しない場合もあるので注意が必要です。

chemSHERPAは普及が拡がってきていますが、chemSHERPA自体が法律で提供を義務付けられているものではないため、今のところ仕入先からの入手には限界があります。
しかし、SDSは労働安全衛生法にもとづき販売時の提供が義務付けられているので、理論的には必ず入手できるものであります。
さらに今後は、SDSの内容について5年以内の更新が義務化されるため、情報の最新化も今以上に期待できます。

chemeSHERPAの趣旨や目的を仕入先にしっかりと説明することは大切ですが、仕入先に無理強いするのではなく、代わりにSDSを提供してもらうことで代替策とすることも現実的な対応と考えます。

(長谷川 祐)