REACH(リーチ)

  • REACHとは何ですか?具体的に何をすればいいのですか。できるだけ分かりやすく教えてください。

    EUが2007年6月からスタートさせた、化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則のことです。
    REACHは「リーチ」と読み、Registration,Evaluation,Authorisation and Restriction of Chemicalsの略称です。
    ・・・と、なんだか難しくなってしまいました。

    多くの部品供給業者は、直接REACHの規制の対象者にはなりません。
    しかし、川下業者(「お客様」と読みかえていただいて構いません)から「どんな物質からできているのか教えてください」と聞かれたら、答えなければいけません。それがREACHのルールです。
    日本国内だけで確実に消費されるとわかっている商品であれば、やる必要ないかもしれません。
    でも、「お客様からREACH調査依頼が来た」ということは、EUに売る可能性があるものだと思いますので、無視はNGです。
    (無視し続けると、お客様から注文が来なくなってしまう可能性があります。)

    では、どのように情報を伝えればいいのか?

    REACHでは、全ての物質について報告をしなさい、とは言っていません。
    世の中には星の数ほどの成分があると思われますので、いきなり全てを報告することは難しいでしょう。
    なので、危険そうな物質から優先的に、少しずつ報告してもらう形をとっています。
    この、「危険そうな物質」のことを、SVHC(高懸念物質もしくは認可対象候補物質)と呼んでいます。

    SVHCは、はじめは16個でした。
    およそ半年に一回ペースでちょっとずつ追加されていき、2016年11月現在では169個にまで増えました。
    「169個の物質が自社の部品に含まれているか?」の付け合わせはとても大変なので、
    「自社の部品はどのような物質から構成されているか?」を調べた方が早いです。
    自社の部品に含まれている成分を、特定のExcelフォーマット(AIS(エーアイエス)やchemSHERPA(ケムシェルパ))に入力すると、
    自動的に169個と一致しているか否かを判定してくれて、表示してくれます。
    本当に便利なツールです!!
    (これらのツールは、同時にRoHSなどの他の規制についても判定して表示してくれます。)
    これらのツールを使わない場合、169個の物質を一つ一つ目で見て確認する作業となりますので、
    すごく時間がかかります・・・。

    「半年に一回SVHCが増える」ということは、一度回答した商品であっても、「半年たったらまた増えた分の報告をしなければいけない」ということです。
    一回やったら終わりではないところが、本当につらいところです・・・。

    少し長くなってしまいましたが、
    「REACHときたら、基本はSVHCの有無を確認して報告すればOK!SVHCの代表的な報告フォーマット(様式)にはAISやchemSHERPAがあるんだな。」
    と覚えておいていただければOKです。

    お客様からは「REACH調査」「AIS」「SVHC」など、様々な依頼が来ますが、全て同じと考えてしまってOKです。
    フォーマットはお客様から指示されることが多いです。(最悪の場合、紙に169個〇をつけてFAX返信とかもあります・・・)
    様々なフォーマットに対応する業者の負担が大きすぎる、ということで、ついに国(経済産業省)が動いてくれました!
    それが、chemSHERPAというフォーマットです。
    本当に、ありがとうございます。
    世の中のフォーマットがこれ1つに統一されることを切に願うと共に、そこに協力していきたいと弊社は考えています。

  • SVHCとは何ですか?分かりやすく教えてください。

    SVHCは、Substances of Very High Concern の略で、「高懸念物質」を意味します。
    REACH規則第57条に認可登録すべき物質として指定されています。
    「認可候補物質」とも言われます。

    何がなんやら・・・ですよね。

    すごくわかりやすく言うと、REACH規則で決められた「環境によくないと思われる物質」のことです。
    「REACHの調査をしてください」と言われたら、「SVHCが含まれているか否かを調べる」というのが一般的です。

    EUは、将来的にREACH規則で、環境によくない物質(1000を超えてくると思われる)を全て報告してもらって、自国内に入れてもOKかNOを決める、という流れにしたいのですが、いきなり「1000以上の物質について来年から報告してください」なんて言われても、無理ですよね?
    そもそも、どの物質が悪い物質なのか、いきなり1000以上も決めるのは時間がかかります。

    なので、段階を踏むことにしたんです。

    1 SVHC候補物質を決める。
    2 1の中から、SVHCにするものを決める。(=認可候補物質を決める)
    3 2の中から、認可物質を決める。

    SVHCの直訳は「高懸念物質」なのですが、上記の1~3の流れから考えた時には、3を決めるときの候補物質ということで「認可候補物質」と呼んだりします。
    3に選ばれた物質(認可物質)を含んでいる場合、最悪の場合、EUに売ろうとしたときに「ダメです」と言われて売れない可能性があります。
    これは、かなりのリスクですよね・・・。
    せっかく作ったのに、受け取ってもらいない。大損失ですよね。

    REACH規則としては、最終的には3を決めたいのですが、1や2の情報も公開しています。
    多くの企業では、1や2に選ばれた時点で、何かしらの対応をするようです。
    2に選ばれても、最終的に3に選ばれない物質ももちろんあります。
    しかし、2に選ばれた物質は、納入時に拒否されることはありませんが「報告」はしなければならないことになっているので、
    多くの会社はSVHCの調査、つまり2の物質の調査をするわけです。