REACHとSVHCの違い

 REACHとSVHCはイコールではありません。
一般的にREACHはEU-REACH規則のことを指しますが、REACHは総合的な化学物質規制であり、化学品(Chemicals)から成形品(Articles)まで広い範囲を網羅しています。
その中で、SVHCは成形品に関する規制の一部です。
SVHCはEU-REACH規則を構成する一部分であると言えます。

 SVHCは広義ではSubstances of Very High Concern(高懸念化学物質)を指します。
REACH規則ではCandidate List of substances of very high concern for Authorization(認可対象候補リスト高懸念物質) の通称です。
認可対象物質というのは、“認可されないと使えない、作れない”、事実上の禁止物質です。
認可対象候補リストに掲載されるということ、すなわちSVHCに指定されるということは将来的に使用や製造が禁止される可能性があるということです。

 EUではSVHCの流通量や用途、ばく露の状況を把握するために成形品中の含有量をリサーチしています。
電気製品や雑貨など幅広い製品についてSVHC含有量を調査する理由は将来の禁止対象として妥当であるかを判断するためのデータ取得と考えられます。

注意すべき点として、SVHCに指定されたことイコール含有を禁止していることではありません。
あくまでも将来の禁止の可能性であり、SVHCに指定されたままで認可対象物質に“格上げ”されていない物質もたくさんあります。
SVHCは、認可対象物質に“格上げ”されない限りは、含有禁止の対象でないことに十分留意する必要があります。

なお、SVHCは2023年7月11日時点で235物質(群)がECHA欧州化学品庁ウェブサイトに記載されています。

 
(長谷川 祐)