認可対象物質と制限物質

EU-REACH規則では「認可対象物質」(Substances to Authorization)と「制限物質」(Restrictions)が指定されています。
“認可”よりも“制限”のほうが厳しい語感を受けますが、実際には意味合いがかなり異なります。

認可対象物質は認可されれば製造や使用が認められるのですが、そのハードルは極めて高いです。
その一例として、航空機エンジンの製造に使用される際のフタル酸エステルDEHPがロールスロイス社に認可されたことがあります。
相当絞り込んだ用途での使用に限定されていることがわかります。
したがって、認可対象物質への指定は事実上の“使用禁止”と捉えるのが妥当です。

制限物質は個々の制限条件に合致しない場合には製造や使用ができません。
例えば、ニッケルはピアスやブレスレットなど皮膚に長時間触れる製品には使用が禁止されています。
しかし、ニッケル硬貨やステンレス流し台にニッケルを使用することに禁止されていません。
制限物質への指定は“用途の制限”と捉えるのが適切です。

概ね、認可対象物質は原則全面禁止、制限物質は禁止用途以外では使用可能、と考えることができます。
ただ、認可対象物質と制限物質が重複している物質もあり、運用面では分かりにくい場合もあります。
EUでは認可と制限の整合も検討しているようです。