ロシアからのレアメタル(続)

最新更新日 2022-04-20

ロシアが2022年2月24日にウクライナに軍事侵攻してから2か月が経過しました。
ロシアへの経済制裁による貿易制限は強化されており、レアメタルの供給情勢も不透明感が増しています。

ロシアが供給の世界シェアの多くを占めるレアメタルはパラジウム、アンチモン、バナジウムなどですが、これら以外にもレアメタルがロシアから供給されています。

コバルトはリチウムイオン電池の主要原材料です。
コンゴ民主共和国が世界生産の70%を占めていますが、ロシアは5%ほどを占めています。
現在の電池技術では、コバルトなくしては電気自動車を大量生産できません。

ニッケルはインドネシアが世界生産の20%ほどを占める最大供給国ですが、ロシアは10%弱を占める世界第4位の供給国です。
ニッケルはステンレス合金に使用されるため、工業製品の製造に必要不可欠です。

インジウムは中国が世界生産の半分以上を占めていますが、ロシアは世界シェアで数パーセントを占める供給国です。
インジウムはパソコンやスマホの液晶ディスプレイの製造には欠かせない金属材料です。

レアメタルは絶対的な供給量が限定されるため、供給シェアが小さい国からの供給量の変化でも世界全体の需給バランスに影響を与えます。
さらに、紛争鉱物調査のようにサプライチェーンをトレースする規制の必要性も今後考えられます。
ロシア情勢は製品含有化学物質管理の観点からも注視が必要です。

(長谷川 祐)