新型コロナウイルス拡大は4月中旬現在も収束する兆しを見せません。日本国内ではマスクの店頭での欠品が続いていますが、除菌剤も品薄になっています。海外でも同様に供給面で厳しい状況の国・地域が多く、EUでは除菌剤の供給強化のために緊急対策を打ち出しました。
3月24日に欧州化学品庁(ECHA)から以下のメッセージが発信されています。
『新型コロナウイルス拡大が拡がっており、医療従事者とEU市民が除菌剤を十分入手できることが欠かせません。しかし、除菌剤の不足が深刻な問題を引き起こしています。入手困難な状況を早急に改善するため、除菌剤の製造と供給を増加させるあらゆる対策に取り組みます。』
EU化学物質法規制にバイオサイド規則というウイルスや細菌を殺生する化学物質に関する法律があります。ウイルスや細菌を除去するエタノールや除菌剤も対象です。通常は段階を踏んでの申請や認可が必要で時間がかかるのですが、暫定的に手続きの簡易化によるスピードアップを強めています。さらにEU域内の除菌剤メーカー等に除菌物質に関連する情報を積極的に提供することで生産拡大を促しています。EU域内への供給だけでなく域外への輸出も強化対象にしています。
日頃は複雑な手続きの印象が強いEUの化学物質管理ですが、緊急事態に対しては柔軟で弾力的な緊急対応を展開しています。今こそ、コロナウイルスを抑え込むための化学物質の最大活用が求められています。
(長谷川 祐)