「RoHSとREACHは何が違うの?」とよく聞かれます。
どちらもEUの化学物質規制ですが、規制する対象が違います。RoHSは「電気電子製品」が規制対象、REACHは「化学物質」が規制対象です。
RoHSは電気電子製品を対象としており、具体的には冷蔵庫やパソコンなどの家電やIT機器等です。それらの電気電子製品の材料にカドミウムや鉛といった有害物質が使われていないことを電気電子製品メーカーに義務付ける法律です。
REACHはすべての化学物質を対象としており、トルエン、アルミニウム、ニッケル、フタル酸エステルなど、いわゆる化学物質全般です。REACHの特徴は化学物質そのものを規制するだけでなく、有害物質の使われ方や“有害性に懸念がある物質”の情報伝達をカバーしており、対象が非常に広範囲であるということです。
部品メーカーが供給先の完成品メーカーからREACH調査を要求されることがありますが、この場合のREACH調査は部品に含まれるSVHCの情報伝達であることが多いです。SVHCはSubstance of Very High Concern(高懸念化学物質)の略称であり、2019年9月現在で201物質です。半年ごとに物質の追加が公表され、その都度、調査要求が発生しますが、今後も増えていく見通しです。
REACHは化学物質が対象なのですが、基本的に全ての成形品(雑貨、衣類、家電、クルマ、などカタチあるモノ全般)の供給業者に製品に含まれるSVHCの情報伝達を義務付けています。その結果、部品メーカーとしては供給先である完成品メーカーから含有物質の情報伝達について要求を受けることになります。板金加工品、樹脂成型品、包装材などカタチあるモノは原則として全てが対象です。
RoHSは電気電子製品業界が影響を受けますが、REACHは業界に関わらず影響してくるということが大きな違いと言えます。
長谷川 祐