紛争鉱物から責任ある鉱物へ

最新更新日 2019-08-17

少し前の話になりますが、紛争鉱物調査の名称が2018年に変更されました。

新名称は「Responsible Minerals Initiative (RMI)」、通常は「RMI」と呼称されます。日本語では「責任ある鉱物の推進」という意味です。ちなみに旧名称の正式表記はConflict-Free Sourcing Initiative(CFSI)、日本語では「紛争フリー調達の推進」でした。

名前は変わっても対象は今のところ、従来と同じスズ・タンタル・タングステン・金の4鉱物です。英語での頭文字を取って通称「3TG」と呼ばれています。調査フォーマットも今までと同じConflict Minerals Reporting Template(略称CMRT)というEXCELシートで、企業での調査実務は昨年までと同じです。それでは何が変わったのでしょうか?

「紛争フリー」という言葉を外して「責任ある」という言葉に変わりました。このことは規制対象の地域と鉱物を“アフリカのコンゴ民主共和国の紛争地域から産出される4鉱物(3TG)”に限定せずに、より広い意味を持たせているようです。

例えば、新たにコバルトを一部企業が自主的に規制する動きが広がってきており、5つ目の規制鉱物になる可能性があります。コバルトはリチウムイオン電池の材料であり、電気電子産業には不可欠の鉱物です。さらには、軍事的な紛争地域にとどまらず、アジアや中南米など児童労働を容認している国や環境規制がゆるい国も対象に拡げていく兆しがみられます。

 日本の製造業にも影響が大きく、今後の動きを注視していく必要があります。

長谷川 祐