紛争鉱物とIMDSは同じサプライチェーン調査として類似性を指摘されることがありますが、調査の目的としては違いが明確です。

紛争鉱物調査は、人権侵害を行っているサプライヤーから3TG(スズ・タンタル・タングステン・金)を調達することを回避して、川上の武装勢力に資金が流れないようにすることが目的です。
人道・倫理・社会正義といった観点でのサプライチェーン調査です。

IMDSは自動車業界における製品含有化学物質管理の情報伝達システムです。
鉛や六価クロム、一部のPFASなど健康や環境に有害な物質を自動車部品や材料の中に含まれていることを特定して、法規制に違反する用途や含有を防ぐことが目的です。
健康・環境といった観点でのサプライチェーン調査であり、人道的観点にもとづく紛争鉱物調査とは目的が明らかに異なります。

しかしながら、どちらも最終製品メーカーがサプライチェーンをさかのぼって原材料の供給元まで特定するという調査手法は類似しています。
IMDSは規制物質だけではなく部品・材料に含まれている物質をすべて開示して情報伝達するフルデクラレーションという考え方を取っています。
そのため、3TGのような概ね化学物質規制対象外の物質の情報伝達も事実上行われています。

紛争鉱物調査ではCMRTというEXCELベースの標準テンプレートが使われますが、IMDSシステムを利用して紛争鉱物の調査を行うことも物理的には可能であると考えられます。

(長谷川 祐)