「重要鉱物」の調査が最近少しずつ増えています。
「重要鉱物」は「紛争鉱物」と語感が似ており混同しそうになりますが、その目的や内容は大きく異なります。
重要鉱物は明確に定義されているわけではありませんが、概ね、経済安全保障上の観点から重要性が高い鉱物と考えられます。
具体的には、モーターに必要なレアアース、半導体製造に必要なガリウム、蓄電池製造に必要なリチウムやコバルトなどです。
これらの金属材料がなくては電気電子機器や電動自動車などが作れないため、その重要性が認識されています。
これらの金属材料のサプライチェーンを調査して確実に供給を確保することが主な目的となります。
紛争鉱物においてもサプライチェーンを調査しますが、その目的は人権尊重の観点から不適切な労働や人権侵害が行われている川上からの調達を防止することが目的です。
実務的には、鉱物から金属材料に精製する精錬業者を特定して情報伝達するための仕組みとしてCMRTが広く利用されています。
紛争鉱物調査と重要鉱物調査ではサプライチェーンをさかのぼって原材料の供給元を特定するという共通点があります。
CMRTの拡大版とも言えるEMRTではリチウムやコバルトなど重要鉱物と見なされている金属が対象となっています。
CMRTやEMRTを使って重要性の高い金属材料の供給元を特定することは可能です。
人権侵害が行われているか否かは問わずに経済安全保障上の目的から川上サプライヤーからの供給をおさえるために企業が調査をする可能性は十分あると考えられます。
その可能性は今後拡大していくと思われます。
(長谷川 祐)