3つの化学物質管理

「化学物質管理」には大きく分けて3種類の化学物質管理があります。

まず一つ目は「化学品の化学物質管理」です。
ビジネス実務においては、化学品メーカーが化学物質そのものの特性や有害性を正確に把握してユーザーに情報伝達する行為です。
SDSを作成することや最新版に更新して川下事業者に受け渡すことに代表されます。
有害性のない化学物質を開発することや、有害性が大きい化学物質を廃絶・削減すること自体も広い意味で「化学品の化学物質管理」と言っていいでしょう。

二つ目が「成形品の化学物質管理」です。
こちらは製品含有化学物質管理と呼ぶことが一般的かもしれません。
RoHS指令の特定有害物質やREACH-SVHCなど成形品における規制物質が自社製品に含まれていることを的確に把握して川下事業者に情報伝達することです。
chemSHERPAの作成や受渡しは製品含有化学物質管理の代表的な業務です。
有害性があるが利便性も高い化学物質を適切に使用して安全な製品を作ることも「成形品の化学物質管理」であると言えるでしょう。

三つ目が「職場の化学物質管理」です。
工場や作業現場などで作業者は様々な化学品を使用します。
その際に作業者に化学物質による健康被害が及ばないようにすることが「職場の化学物質管理」です。
化学品の調達先からSDSを入手してリスクアセスメントを行うことや防毒マスクなど保護具を適切に使用することはまさに「職場の化学物質管理」の代表的な業務です。

(長谷川 祐)