自動車EV化の化学物質管理への影響3点

自動車EV化は加速しており、製品含有化学物質管理における影響も少なくないと思われます。
実務的な面に着目するとEV化の影響は概ね3つの点に集約されます。

第一に素材に対する化学物質法規制の影響です。
使用される鋼材は減少しアルミなど軽量な金属は増加します。
RoHS・ELVの鉛の適用除外停止の影響は現在とは異なることが想像できます。
さらに樹脂材料の増加によって新たに規制対象となる物質が現れることも考えられます。

第二に紛争鉱物規制の影響です。
リチウムイオン電池の増加によってコバルトを規制対象に加える動きに影響があるかもしれません。
さらにEVにおけるグローバル生産体制の再編によって、レアメタル供給国の変化も想定されるため、現在のコンゴ民主共和国の3TG(スズ・タンタル・タングステン・金)規制から国・地域と鉱物が拡大する可能性があります。
また、CMRT/ERT/PRTといった報告テンプレートがWeb化していくことも考えられます。

第三に情報伝達スキームに関する影響です。
自動車と電気の融合によって、IMDSに統一されるのか、chemSHERPAのニーズが拡大するのか、不透明です。仮にIMDSに統一された場合はIMDSフルデクラレーション(全物質の開示)への日本の電機産業・化学産業の影響度合いは相当大きいことが予想されます。
一方で電装部品の増大によってchemSHERPAのニーズが拡大することも十分予想されます。

EV化による製品含有化学物質管理の実務面への影響は大きくなっていくことは間違いないでしょう。

(長谷川 祐)