六価クロムの有害性と有用性

電気電子製品や自動車での含有物質規制であるRoHS指令やELV指令において、六価クロムには厳しい制限がかけられています。
その理由は、過去において電気電子製品や自動車が野放図に廃棄されて、含有していた六価クロムが環境中に流出して自然環境や人体に深刻な影響を与えたからです。

六価クロムは強い毒性を持ち、六価クロムに触れると皮膚や粘膜に炎症が生じることがあります。
また高い発がん性も指摘されています。

六価クロムは、主に工業分野で酸化剤、メッキ、顔料、染料、皮革の処理など、様々な用途で使用されています。
また、金属の防錆処理や表面処理にも用いられます。
特にメッキでの六価クロムの有用性は広く知られており、金属製品の表面に六価クロムメッキを施すことで、耐食性や耐摩耗性を高め、装飾効果も得られます。
自動車部品や産業機械部品などに多く使用されてきました。

六価クロムは、優れた特性を持つ一方で、毒性が強いため、環境や人体への影響が懸念されています。
そのため、使用には厳格な管理が求められ、近年ではより安全性の高い三価クロムへの切り替えが進められています。

(長谷川 祐)