EV時代の製品含有化学物質管理スキーム

自動車業界では世界的に電気自動車(EV)へのシフトが加速しています。
既存の自動車メーカー以外からの参入も目立ってきました。
EV専業メーカーのテスラはもともとスタートアップ企業であり、自動車産業の象徴であった米国ビッグ3(GM・フォード・クライスラー)とは生い立ち自体が異なります。
中国メーカーのBYDは電池メーカーから事業領域を拡大して自動車メーカーとなりました。
IT大手のAppleやGoogleも電気自動車事業への参入を示唆しています。

自動車EV化における産業構造の変化は、自動車業界とエレクトロニクス業界の融合とも言われています。
製品化学物質管理の観点から気になるのは、自動車とエレクトロニクスのどちらが情報伝達スキームにおいて主導権を取るかということです。
自動車業界ではIMDSが世界的な標準スキームとして日米欧を中心に各国で広く利用されています。
エレクトロニクス業界では国際的に標準化されたスキームは見当たりませんが、
日本国内ではchemSHERPAが業界横断型スキームとしてエレクトロニクス業界だけでなく産業界全体に広く利用されています。

EVにおける製品含有化学物質管理はIMDSを使うのか、chemSHERPAを使うのか、あるいは両方の併用となるのか、企業の化学物質管理実務には大きな影響があると考えられます。
EV化は大方の想定よりも早く進んでおり、今後の産業界全体の動向を注視する必要があります。

(長谷川 祐)