自動車EV化での素材変化

最新更新日 2023-01-26

自動車業界では世界的にEV化(電気自動車へのシフト)が加速しています。
海外では米国テスラのような高級車が主導していたEV市場も中国製の小型電気自動車のような廉価版が少しずつ普及しつつあります。
日本市場ではHV(ハイブリッド車)が先行していますが、EV(完全にバッテリーで走る電気自動車)も着実に拡がることは間違いないでしょう。

EVは重いバッテリーを搭載するため車体の重量が大幅に増加します。
車種・グレードによって異なるのですが、一般的にガソリン車に比較して20%~50%増加すると言われています。
この重量化を軽減するために車体を構成する部品・素材の軽量化が求められています。
鉄鋼からアルミへ、さらにはマグネシウムやチタンなど、より軽量な金属材料への代替が検討されています。
金属材料から樹脂材料への変換は従来から進められてきましたが、今後は一層加速していくと思われます。

製品含有化学物質管理においては、情報伝達が要求される物質が増えていくことが想像できます。
樹脂材料は金属材料と同等の耐久性を確保するために物質レベルでの新技術が投入されていくことでしょう。
今以上に複雑で難度の高い製品含有化学物質管理が必要になっていくと考えられます。

自動車業界では情報伝達にIMDSが利用されておりchemSHERPAの利用は今のところ限定的です。
しかし、EVにおいては電子電気系の構成部品が格段に増加することから、電気部品メーカーからのchemSHERPAの要求が拡大する可能性があります。
部品サプライヤーにとって厳しい環境変化ですが、新規領域への参入や販売価格の見直しなど新たなビジネスチャンスと捉えることができます。

(長谷川 祐)