2026年9月の本運用開始に向け、CMP(Chemical and Circular Management Platform)がいよいよ本格始動します。先日開催された説明会では、サプライチェーン全体の業務を劇的に変える「大規模実証」の詳細が明らかになりました。
本記事では、化学物質管理だけでなく資源循環の側面も持つCMPが解決する課題や、2026年4月から始まる実証実験の内容について詳しく解説します。
化学物質・資源循環の新たな共通基盤「CMP」の全体像
CMP(Chemical and Circular Management Platform)は、企業間で化学物質情報や資源循環に関するデータをスムーズにやり取りするための共通基盤(ハブ)です。
これまで企業ごとに個別最適化されていた管理手法を、一つのデジタル基盤でつなぐことを目的としています。
IMDSを利用したことのある方は、IMDSをイメージしていただけると分かりやすいと思います。
(※IMDS:自動車業界で利用されている、chemSHERPAのようなもの。Web上でログインして材料登録等の作業をします。製品含有化学物質を報告・共有するための国際的なデータベースです。)
選べる3つの利用形態
企業のIT環境や規模に合わせて、主に以下の3つのパターンで導入が想定されています。
- クラウドサービス(Webブラウザ): 資産を持たず、ブラウザから手軽に利用。
- システム連携型: 自社の基幹システムとAPI等で接続し、自動化を促進。
- 自社パッケージ導入型: 独自のカスタマイズやセキュリティ要件に合わせて導入。
多くの中小企業の方々は、「1.クラウドサービス(Webブラウザ)」を選択することになると思います。
大手企業の方は、既に専用のシステムを構築していると思いますので、「2.システム連携型」や「3.自社パッケージ導入型」を選択することになろうかと思います。
「フラグ伝達」が実現する業務プロセスの変革
CMPを導入する最大のメリットは、情報の「自律的な更新」と「効率的な流通」にあります。
再調査の手間を最小化する「変更フラグ」
これまでは、REACH規則のSVHC(高懸念物質)が追加されるたびに、サプライヤーへ再調査を依頼する必要がありました。
CMPでは、規制物質の追加があった際、システム上で「変更フラグ」がサプライチェーンを自動的に流れます。(2026年5月~7月頃に、大規模実証期間中に3回ほど、いわゆるchemSHERPAのVerUPに相当する更新作業が、練習として行われる見込みです。)
これにより、各社がバケツリレーのような形でサプライヤーへ再調査を依頼しなくても、自動的にCMP利用企業の全社に更新情報が流れますので、川中企業の再調査にかかる工数が大幅に削減できる見込みとなっています。
chemSHERPAとの互換性
現在広く普及しているchemSHERPA(AI/CI両方)とのデータ連携も完備されています。
既存のデータをCMPに取り込んだり、CMPからchemSHERPA形式で出力したりすることが可能なため、これまでのデータ資産を無駄にすることなくスムーズな移行が可能です。
chemSHERPAは、当分の間は並行稼働する見込みのようですが、いずれはなくなるのではないかと思いますので、どこかの段階で、全てのchemSHERPAデータをCMPに取り込んでおくのがよろしいかと思います。
2026年4月開始「大規模実証」で確認すべきポイント
本運用に先立ち、2026年4月から8月にかけて「大規模実証」が実施されます。
これは、システムが実際の業務フローに耐えうるかを検証する極めて重要なフェーズです。
2つの参加パターン
- 自社単独検証: コンソーシアムが提供する仮想企業(ダミーデータ)を相手に、基本機能や操作性を確認します。
- 取引先との共同検証: 実際の取引先と連携し、実務に近いデータを用いてサプライチェーン間の情報伝達をテストします。
先行4社のアプリケーションを比較可能
実証期間中は、Sotas、NEC、富士通、dotDといった先行開発ベンダーのアプリを試用できます。
期間中に複数のアプリを比較したり、自社の要件に合うものを選定したりする貴重な機会となります。
「アプリケーションが複数ある」というのがイメージが湧かない方が多いかと思いますが、感覚的には、Webブラウザをイメージしていただければ分かりやすいと思います。
Webブラウザには、EdgeやChromeやFirefoxなどがありますが、どのソフトを使っても同じ情報(データ)へアクセスできます。
CMPのアプリケーションを提供している会社は、現時点で4社あります。
| 適用分野(※1) | 提供形態 | 補足 | ||
|---|---|---|---|---|
| 化学品 | 成形品 | |||
| Sotas | ○ | × | クラウド | |
| NEC | ○ | ○ | クラウド | |
| 富士通 | × | ○ | オンプレ | ※2 |
| dotD | △ | △ | クラウド | 2026年6月以降(予定) |
なんとなく、化学品も成形品も「○」となっている「NEC」が万能な気がしますが、×となっていてもCIやAIの取込や作業が全くできないわけではないと予想されますので、例えば川中企業様で成形品(AI)をメインにchemSHEPRAを利用している会社様は、NECと富士通とdotD、3つを大規模実証期間中に試してみることをお勧めします。
自社にとって使い勝手が良いアプリケーションを選択することが、肝になってくるかもしれません。
Q&Aから見る実務上の懸念と解決策
2026年1月14日の説明会の質疑応答では、実務担当者から寄せられた具体的な懸念に対して以下の回答が示されました。
- コスト負担: 実証期間中のシステム利用料およびアプリ利用料は一切かかりません(無料)。本運用後の費用体系は、2026年3月末までに開示される予定です。
(有償利用の対象となる企業は、一定規模以上の大手企業様のみとなる見込みのようです) - データの安全性: 実証環境で入力したデータは、終了後にすべて削除されます。機密保持に関しては、必要に応じてアプリベンダーとの個別NDA締結も相談可能、とのことです。
- 未参加企業への対応: サプライヤーがCMPを利用していない場合は、引き続き従来の手段(chemSHERPAファイル等)で情報を収集し、CMPへ登録する運用となります。
今後のスケジュールと申し込み
スケジュールは、以下の通りです。
- 2026年1月30日: 大規模実証 参加申し込み締切
- 2026年3月中旬:実証参加説明会(予定)
- 2026年3月下旬: 実証環境オープン(予定)
- 2026年4月~8月: 大規模実証 ※一般のユーザーによるお試し利用
- 2026年7月:本番利用開始説明会(予定)
- 2026年9月: 本運用開始(予定)
まずは1月末の締め切りまでに参加申し込みをし、実証期間を通じて自社の業務効率化がどこまで実現できるかを見極めることが重要です。
詳細は、「CMP大規模実証計画説明会」の資料をご覧ください。
参加申し込みは、申込フォームより申請が可能ですので、お早めにお申し込みください。
参考:https://cmp-consortium.com/cmp#document
エコハーツがお手伝いできること
CMPのような新しいプラットフォームの導入期には、これまでの管理に加えて、新たな技術の習得、作業手順の変更等の負担が、一時的に増大します。
エコハーツでは、既存のchemSHERPAデータの整理から、新たなシステムへの入力代行や運用方法のご提案まで、幅広くサポートが可能です。
「何から手をつければいいか分からない」という際には、お気軽にお問合せ下さい。