chemSHERPAバージョン変更によるIMDSへの連携

chemSHERPAのスキームが大幅に改訂されます。
予定されているバージョン名はV2R1であり、今のところ、2024年8月下旬から9月上旬に公開される見通しです。

最も大きな変更内容はchemSHERPAからIMDSへの連携を可能にするためのデータ構造の変更です。
「部品の多階層表現」と「全成分情報の伝達(Full Material Declaration)」が可能になります。

IMDSでは部品構成表の“ツリー”に基づくデータ入力が必須であり、構成部品の構造を正確に開示する必要があります。
材料レベルにおいては、規制物質だけでなく、含有物質は90%以上の開示(Full Material Declaration)が求められています。
これまでのchemSHERPAでは対応が難しかったため、IMDSへの変換は手入力で行っていた会社が多いと思われます。
今後はデータ変換の効率化が期待できます。

しかしながら、この2点はサプライヤー企業にとって機密情報であることも少なくありません。
今回のV2R1への変更では、部品の全階層表現も全成分情報伝達も任意であり、IMDSなど自動車業界への情報伝達を可能にするためのオプション的な位置付けのようです。
V2R1では、同じchemSHERPAデータでも、自動車業界向けと自動車業界以外向けではデータの出し方が異なってくることもあるようです。
この点は企業の担当者の負荷を増やす可能性があります。

(長谷川 祐)