REACH登録とREACH-SVHCの違い

EU-REACHは総合的な化学物質規制として広い領域をカバーしています。
化学品だけでなく成形品も対象にしていることが特徴的です。
企業の実務においては「REACH登録」と「REACH-SVHC」は全く別物の法規制と考えたほうがよいでしょう。

「REACH登録」は化学品が対象であり、“○○化学”、“○○石油化学”といったケミカルメーカーが対象事業者です。
対象事業者は物質をEU当局に登録することが義務付けられています。
新規に開発された物質は、登録しなければEUでの製造や輸入を行うことはできません。
日本の化審法に似ているのですが、REACH登録は新規物質だけでなく既存物質も登録の対象にしていることが大きな特徴です。

「REACH-SVHC」は成形品が対象であり、“○○電気工業”、“○○自動車”といった成形品メーカーが対象事業者です。
完成品や部品に含有されているSVHCについてEU当局や川下ユーザーに情報伝達することが、EUでの流通や輸入において義務付けられています。

成形品メーカーで化学物質管理を最近担当することになった入門者がREACHセミナーに参加しても“セミナーの中身がよくわからなかった…”ということがよくあります。
これは、REACHセミナーのほとんどはREACH登録から説明に入るため、前半部分が化学品メーカー向けになっていることが原因です。
通常のREACHセミナーでは「REACHは欧州の総合的な化学物質規制であり、RはRegistration、EはEvaluation、Aは…」のような説明から入るので、自分に直接関係のない登録の話ばかりで良く分からない印象を持ってしまうからです。

EU-REACHのような難解な法規制を理解するには、専門的なセミナーを受講するよりは、実務を分かっている先輩担当者や業界関係者に知りたいことを直接尋ねて易しく説明してもらうのが得策かもしれません。
 
(長谷川 祐)