最新更新日 2023-05-18
最近(2023年4月)、東京都立川市や国分寺市などでのPFAS(ピーファス)汚染が報道されています。
地下水からPFASが検出され、地元住民の健康や環境への懸念が高まっています。
立川市や国分寺市に近い米軍横田基地では、航空機の消火剤や消火訓練などにおいて、PFASが使用されてきました。
これらの活動により、周辺環境や地下水、地下水を利用する地域の飲料水などがPFASに汚染された可能性があります。
PFASは、Per- and Polyfluoroalkyl Substances(ペルフルオロアルキル物質)の略で、主に炭素とフッ素からできた「有機フッ素化合物」の総称です。
水や油をはじき、熱に強い特徴があるため、広く使用されてきました。
防水性のある衣服や寝具、カーペット、家具などのテキスタイル製品、油や水をはじく調理器具や包装材料、消火剤、建築材料などに利用されています。
しかし、PFASは自然界ではほぼ分解されず、環境中や人体に長く残るため、生物蓄積性が高く健康への影響が懸念されています。
例えば、動物実験ではがんや生殖器の異常、免疫機能の低下などが報告されています。
また、PFASが含まれる飲料水などを摂取することで、人間にも悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
現在では多くの国や地域で制限がかけられつつあります。
PFASは約10,000物質、あるいは、それ以上と言われており、対象物質の範囲が大変広い物質群です。
これまでPFASに分類される物質、PFOSやPFOAは国際条約(ストックホルム条約)で製造・使用が世界的に禁止されてきました。
一方で、個別に物質ごとに規制をかけていく難しさも指摘されています。
EUや米国ではPFASを物質群として全面的に規制する動きも活発化しています。
PFASの規制動向には注視していく必要があります。
(長谷川 祐)