紛争鉱物3TG(スズ・タンタル・タングステン・金)の主要な供給国はコンゴ民主共和国です。
アフリカ大陸の中央部に位置していますが、地図をよく見ると北西隣にコンゴ共和国という似た名前の国があります。
コンゴ民主共和国はベルギーの植民地でしたが、コンゴ共和国はフランスの植民地でした。
アフリカでは旧宗主国によって国境が定められたケースが少なくありません。
紛争鉱物規制ではコンゴ民主共和国と隣接9ヶ国が対象地域になっています。
特に着目したいのが東側の隣接国のウガンダ、ルワンダ、ブルンジです。
これらの隣接国は、3TGの鉱物がコンゴ民主共和国から出荷される際、中継地点となっていることが知られています。
この地域では多くの民族が国境をまたがって暮らしており、農産物や商品の流通において人々は自然に行き来しています。
過去の紛争勃発時には軍事勢力や難民が国境を越えて双方に流出入しました。
事実上の国境が有って無いような地帯も存在しており、鉱物の供給ルートをトレースすることの難しさの要因になっています。
同様なケースは世界の他の地域でも見られます。
サプライチェーンの最上流である鉱物の採掘から出荷までは混とんとした状況であることが少なくありません。
紛争地域にどこまで深く入り込んで供給ルートを確認するか、国際社会がサプライチェーン調査を展開していく上での大きな課題の一つであると考えられます。
(長谷川 祐)