テレビやパソコンの中の部品に鉛やカドミウムが使われていても、手に触れることは通常はないですよね。そもそも有害な物質が身近な家電製品に含まれているといってもピンとこないものです。なぜ入っていてはいけないのでしょうか?
RoHS指令はEUの法律ですが、EUの公式ウェブサイトをご覧になったことはありますでしょうか? ぜひ一度覗いてみてください。
https://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/index_en.htm
URLを開くと目に飛び込んでくるのは昔のブラウン型テレビが森の中に廃棄されている光景です。廃棄されたテレビ受像機が木の枝につり下がっています。
まだ20世紀だった1990年代のころ、使い古された家電が野放図に捨てられている状態が欧州のあちらこちらで見かけられたそうです。森林や原野に放置された家電廃棄物から鉛やカドミウムといった有害物質が土壌に流れ出て、川や海に流れ込みました。そして、鳥や魚の体内に入っていき、最終的には人間の体内に戻ってきました。長い年月をかけて有害物質の発がん性や生殖毒性がヒトの健康を蝕んでいったのです。
電気電子製品中に含まれる有害物質は製品ライフサイクルを終えたのちに廃棄物として自然環境と人の健康を害します。これを防ぐためには、電気電子製品が生産されるときに有害物質を含まれないようにしなくてはならない、ということです。
(長谷川 祐)