ケムシェルパは「製品含有化学物質管理」の仕組みです。
なぜ「化学物質管理」とだけ呼ばずに、頭に「製品含有」を付けるのでしょうか?
今から20年ほど前の1990年代、また20世紀だったころ、化学物質管理は化学品メーカーの役割でした。石油から化学原料を製造する化学メーカーが責任をもって有害物質を管理しなくてはならないと一般的には考えられていました。
ところが、2000年代に入り、欧州でRoHS指令やREACH規則が施行されました。RoHSやREACHは化学品メーカーだけでなく、化学品を使って製品を製造する電機メーカーなど製品メーカーにも有害物質の使用制限や情報伝達を要求しました。以来、製品メーカーにも自社製品に含有される化学物質の管理責任が発生したのです。
従来の素材としての化学品における「化学物質管理」に対して、素材から作った製品における「製品含有化学物質管理」です。ケムシェルパCIはChemicals Information(化学品の物質情報)ですが、ケムシェルパAIはArticle Information(製品含有の物質情報)です。
パソコンや家電、クルマや自転車、それまで化学物質管理とは縁が薄かった企業も自社製品に鉛や六価クロムなど有害物質が含有していないか、管理することが必要になったのです。これが「製品含有」の意味合いです。
欧州では、雑貨や衣料品に対して、消費者が小売店の店頭で製品に含有されている規制物質をチェックした上で購入するといった行動が少しずつ広がってきています。「製品含有化学物質管理」は今後さらに拡大していくことが考えられます。
(長谷川 祐)