SVHCは、Substances of Very High Concern の略で、「高懸念物質」を意味します。これはREACH規則の第57条に指定されている物質群であり、「認可候補物質」とも呼ばれます 。

SVHCとは、「将来規制されるかもしれない要注意物質」

すごくわかりやすく言うと、REACH規則で決められた「環境や人体に悪影響を及ぼす可能性が高く、将来的にEUへの持ち込みが禁止されるかもしれない、特に要注意な物質」のことです。
「禁止されるかもしれない」物質ですので、含有していたら即NG、というわけではありません。

EUは、最終的にはREACH規則の中で、環境や人体に良くない物質を全て洗い出し、その物質を含んだ製品をEUに入れるかどうかを判断したいと考えています。
しかし、対象となる物質は1,000を超えるとも言われており、いきなりその全てを特定し、規制対象として運用するのは現実的ではありません。

そこでEUは、規制を適用するにあたり、段階を踏むことにしました。

(REACH規則の規制の流れ)

  1. 高懸念物質(SVHC)の候補を決める (専門家が「これは危ない」と判断した物質)
  2. 認可対象候補物質(Candidate List)を決める (1の中から、特に優先的に情報伝達が必要な物質)
  3. 認可対象物質(Authorisation List)を決める (2の中から、使用継続にEUの許可=認可が必要となる物質)

SVHCという言葉は、上記の1~3の流れ全体を指す総称として使われますが、特に皆様が調査対象とするのは、現在リストとして公開されている「2. 認可対象候補物質」であることが一般的です。このため、「認可候補物質」とも呼ばれます

■ SVHC調査を無視できない理由

REACHのルール上、皆様が納品する製品にSVHC(認可候補物質)が0.1重量%を超えて含まれている場合、その情報をお客様に伝える義務があります

このSVHCリストに載った物質は、将来的に最終ステップである「3. 認可対象物質」に選ばれる可能性があります。

  • 「3. 認可対象物質」に選ばれると、最悪の場合、EUに製品を売ろうとしたときに使用許可(認可)がなければ「ダメです」と言われて、販売できなくなるリスクがあります 。
  • 「2. 認可候補物質」に選ばれた時点では、納入時にEUで拒否されることはありませんが、お客様への報告義務が発生します。

多くのお客様は、将来的なリスクを避けるため、「2. 認可候補物質」に選ばれた時点で、早めにサプライヤーに調査を依頼したり、代替材料への変更といった対応を始めます。

これが、「REACHの調査をしてください」と言われたら、まずは「SVHC(認可候補物質)の有無を調べる」のが一般的となっている理由です。

SVHCの代表的な報告フォーマット(様式)はchemSHERPAですので、まずはこの仕組みをしっかり覚えておきましょう。