製品に含まれる金属が、紛争の資金源や人権侵害(児童労働など)に関与している鉱山から採掘されたものではないかを調べる調査です。
調査対象となる鉱物によって、使用する調査票(テンプレート)が「CMRT」「EMRT」「AMRT」の3種類に分かれています。
1. なぜ調査が必要なのですか?
紛争地域(コンゴ民主共和国など)や高リスク地域(CAHRAs(※1))では、鉱物の採掘が武装勢力の資金源になったり、深刻な人権侵害の原因になったりしています。
企業がこれらに加担しない「責任ある調達」を行うため、米国法(ドッド・フランク法)やEU電池規則などの法規制、および顧客からの要求に基づいてサプライチェーン全体で調査が行われています。
※1:CAHRAs:Conflict-Affected and High-Risk Areas の頭文字を取ったもの。
2. 何を調べるのですか?(3つの調査票と対象鉱物)
以前はCMRTだけでしたが、現在は調査対象鉱物が拡大し、以下の3つのツール(Excelテンプレート)が使い分けられています。
① CMRT(シーエムアールティー):4鉱種
正式名称:Conflict Minerals Reporting Template
伝統的な「紛争鉱物(3TG)」の調査に使用します。
- スズ (Tin)
- タンタル (Tantalum)
- タングステン (Tungsten)
- 金 (Gold)
② EMRT(イーエムアールティー):6鉱種
正式名称:Extended Minerals Reporting Template
近年、人権侵害やEV(電気自動車)需要で重要性が増した以下の6つの鉱物が対象です。
- コバルト (Cobalt)
- 天然マイカ (Natural Mica) ※合成マイカは対象外
- 銅 (Copper)
- リチウム (Lithium)
- ニッケル (Nickel)
- 天然グラファイト (Natural Graphite) ※合成グラファイトは対象外
③ AMRT(エーエムアールティー):その他の鉱物
正式名称:Additional Minerals Reporting Template
上記(CMRT・EMRT)以外の鉱物を調査するための新しいツールです。
- 対象: アルミニウム、鉄、亜鉛など、顧客が指定する任意の鉱物
- 特徴: 顧客から「この鉱物について調べて」と指定があった場合に使用します。
3. どうやって回答すればいいのですか?
基本的には、RMI(責任ある鉱物イニシアチブ)の公式サイトから最新のExcelテンプレートをダウンロードして回答を作成します。 (※取引先から特定のファイルを指定して送られてくる場合もあります)
回答者は、自社が使用している材料の仕入先に同じ調査を行い、「どこの製錬所(Smelter)で作られた金属か」を特定して入力し、顧客へ返送します。
サプライチェーン全体で情報をバケツリレー形式でつないでいく点は、化学物質調査(chemSHERPA等)と同じです。
難しいと感じたら
「サプライヤーから受領したデータのとりまとめが大変」というご相談が増えています。
エコハーツでは、最新版テンプレート(CMRT・EMRT・AMRT)の入手から作成代行、サプライヤーへの調査依頼代行まで承っております。お気軽にお問合せ下さいませ。