「chemSHERPA(ケムシェルパ)」という言葉、製造業に携わる方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。 今回は、このchemSHERPAの基本と、最近話題になりつつある「CMP」について、初心者の方にも分かりやすく解説します。

■ chemSHERPAとは?

一言でいうと、「製品に含まれる化学物質の情報を、サプライチェーン全体で共通して使えるようにしたルールと道具」のことです。 経済産業省が主導して2015年10月からスタートしました。

正式名称は「Chemical information SHaring and Exchange under Reporting Partnership in supply chain」。 ちょっと長いですが、略して「chemSHERPA(ケムシェルパ)」と呼ばれています。

■ なぜ作られたの?

以前は、大手企業ごとに異なる調査フォーマット(AIS、JGPSSI、JAMAなど)が乱立していました。 そのため、間に立つ中小企業の皆様は、取引先ごとに違う形式で回答しなければならず、その負担は大変なものでした。

そこで国(経済産業省)が旗振り役となり、「業界ごとの垣根をなくしてフォーマットを統一し、皆の負担を減らして正確に情報を伝えよう!」という目的で作られたのがchemSHERPAです。 専用の作成ツールが無料で提供されており、これ一つ覚えれば多くの取引先に対応できる仕組みになっています。

■ 運営と現状

運営事務局は、かつて「AIS」を運営していたアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)です。 そのため、以前のAISと使い勝手が似ており、昔から対応されていた方には馴染みやすい作りになっています。

2018年にAISなどの旧フォーマットは終了し、2025年現在では、chemSHERPAは日本国内の事実上の標準として多くの企業で利用されています。

■ 新しい動き「CMP」とは?

そして今、さらに便利な仕組みとして「CMP(Chemicals Management Platform)」という構想が進んでいます。

これまでのchemSHERPAは「ファイルをメールなどで送る」形式でしたが、CMPは「インターネット上のプラットフォーム(基地)でデータを直接やり取り・管理する」仕組みです。 これにより、ファイルのバージョン管理の手間や、送受信のミスをさらに減らすことが期待されています。

chemSHERPAという共通言語をベースに、より効率的なデータの受け渡し場所(CMP)へと進化しつつある、とイメージしていただくと分かりやすいでしょう。