REACH規則:難解なルールですが、ポイントは「情報伝達」です

REACH規則とは、EU(欧州連合)が2007年6月より本格的にスタートさせた、化学物質に関する非常に包括的なルールです

REACHは「Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals(化学品の登録、評価、認可および制限)」の頭文字をとった略称です。・・・と、なんだか難しく聞こえますが、部品供給業者様にとってのポイントは一つです。

「自社の製品に含まれる”危険な物質”の情報を、お客様に必ず伝えてください」という義務(情報伝達義務)です 。

■ なぜ、お客様から「REACH調査」が来るのか?

多くの日本の部品供給業者は、化学品をEU域内に輸出するわけではないため、REACH規則の直接の規制対象者にはなりません。

しかし、皆様の「お客様」(川下業者)は、最終的にその部品を組み込んだ完成品をEUに販売する可能性があります。REACHのルールでは、EU域内でその製品を販売するために、お客様はサプライヤー(皆様)からの情報がないと困ってしまうのです。

したがって、「お客様からREACH調査依頼が来た」ということは、皆様の商品がEU市場に流れる可能性があるということです。日本国内だけで消費されると分かっている場合を除き、この調査を無視することは絶対にできません。(無視し続けると、信頼を失い、お客様から注文が来なくなってしまう可能性があります。)

■ 具体的に何を報告すればいいのか?

REACH規則は、「全ての物質について漏れなく報告しなさい」とは要求していません。世の中にはあまりにも多くの成分が存在するためです。

そこで、まずは「危険性の高い物質」から優先的に報告する仕組みがとられています。この危険性の高い物質のことを、SVHC(高懸念物質/認可対象候補物質)と呼びます 。

皆様が行うべき実務は以下の通りです。

「SVHCが、お客様に納入する製品に0.1重量%を超えて含まれていないか」を確認し、含まれている場合は、その物質名や安全な使用方法をお客様に伝えること 。

SVHCのリストは、はじめはわずか16物質でしたが、およそ半年に一回ペースで追加され、その数は増え続けています(直近の管理リスト更新は2025年6月です)

この数百に及ぶ物質を一つ一つ目で見て確認するのは、非常に時間がかかり非効率です。

そこで役立つのがchemSHERPAです。

自社の部品の構成物質をchemSHERPAに入力し、「含有判定」の操作を行うと、最新のSVHCリスト(およびRoHSなどの他の規制物質)と自動的に照合し、含まれているか否かを判定して表示してくれます。

半年に一度SVHCリストが更新されるということは、一度回答した商品であっても、リストが増えた分について再度報告が必要になるということです。REACH対応は「一度やったら終わりではない」という点が、皆様にとって最も大変な実務負担となります。

長くなりましたが、まずは「REACH(SVHC)調査が来たら、chemSHERPAでSVHCの有無を確認し、お客様へ情報伝達する」と覚えておいてください。