?製品含有化学物質の調査には、どんなものがあるの?

皆様がお客様から依頼を受ける「製品含有化学物質の調査」は、大きく分けて二つの柱から成り立っています。

  1. RoHS指令の調査(有害物質の含有制限)
  2. REACH規則の調査(高懸念物質の含有情報伝達)

これらはEU(欧州連合)の法規制が元になっており、世界中の企業が対応しています

最近は、対象となる規制や物質が広がってきています。例えば、POPs規則(残留性有機汚染物質) や米国のTSCA(有害物質規制法) など、EU以外の規制にも対応が求められることが増えました。

また、UV-328(2-(2H-benzotriazol-2-yl)-4,6-ditertpentylphenol)やデクロランプラス(Dodecachloropentacyclo[12.2.1.16,9.02,13.05,10]octadeca-7,15-diene)など 、個別の高懸念物質の調査依頼も増加傾向にあります。
特にMCCP(中鎖塩素化パラフィン) や長鎖PFCA(長鎖パーフルオロカルボン酸)など 、サプライチェーン全体で確認が必要な物質に関する調査は今後も増えていくでしょう。

しかし、皆様の部署(品質保証部や購買部など)では、これら化学物質調査と並行して、以下のような関連調査もまとめて担当していることが多いのではないでしょうか。厳密には「製品含有化学物質の調査」とは異なりますが、実務上は一緒くたにされることが多い項目です。

  • 紛争鉱物の調査:製品に使用されている錫、タンタル、タングステン、金(3TG)などの鉱物が、コンゴ民主共和国などの紛争地域や高リスク地域(CAHRAs)の武装勢力の資金源となっていないかを確認する調査です 。CMRT(Conflict Minerals Reporting Template)やEMRT(Extended Minerals Reporting Template)といった専用の統一フォーマットで回答します 。
  • 原産国・該非判定の調査:これは主に輸出管理や貿易関連の調査であり、製品が特定の規制(例えば、中国RoHSなど )に該当するかどうかを判定するものです。

?調査用の統一フォーマットと効率化

このように調査依頼が多岐にわたると「何を使って、どう回答すればいいのか」が混乱しがちです。
しかし、ご安心ください。現在、調査用の主要なフォーマットは「集約」が進んでいます。

2025年現在、特にRoHSやREACHなどの製品含有化学物質の調査において、その代表的なフォーマットは「chemSHERPA(ケムシェルパ)」にほぼ統一されました 。
chemSHERPAは、RoHS、REACHだけでなく、日本の化審法、米国のTSCA、EUのPOPs規則など、EU以外の重要なグローバル規制もカバーしています。
chemSHERPAのツールや提出形式をマスターすれば、多くの製品含有化学物質の調査に対応可能となり、業務の大幅な効率化が図れます 。

(注:ただし、自動車業界ではIMDS(アイエムディーエス。International Material Data Systemの略)という専用のグローバルシステムが引き続き主流です 。また、chemSHERPAは現在、より効率的なデータ連携を目指してCMP(シーエムピー。Chemicals Management Platform)というクラウド上のプラットフォームへの進化も進んでいます 。)

chemSHERPAに統一されたことで、以前のようにAISJGPSSIといった複数の古い形式に個別に対応する必要はなくなりました

お客様から様々な調査依頼が来ても、「これはchemSHERPAでカバーできる」「これは紛争鉱物調査(CMRT)が必要」というように、種類を分けて対応することで、過度な負担を避けることができます。

もし、これらの多様な調査の対応にお困りの場合は、エコハーツにご相談ください。
RoHS・REACHの調査はもちろん、紛争鉱物や各種保証書作成もワンストップで代行いたします 。